株式投資をしていると、トレンドラインという言葉をよく耳にしますが、特に投資初心者は使い方が分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、トレンドラインとは何か、その重要性について説明していきます。また、私自身が実際に使用している引き方も解説していきますので、少しでも参考になればと思います。
本記事は、トレンドラインについて解説しますが、使えば絶対に勝てるようになるというものではありません。投資の際の最終判断は自己責任にてお願いいたします。
トレンドラインとは?
トレンドラインとは何かを解説していきますので、まずは基本をしっかり理解していきましょう。
トレンドラインの種類
トレンドラインとは、株価チャートにおいて株価の方向性を視覚的に示すための直線です。株価のトレンドには、大きく分けて「上昇」「下降」「横ばい」の3種類があります。一般的には、株価の推移している株価の高値同士、安値同士を直線で結ぶことでトレンドラインを引くことができます。「月足」「週足」「日足」「分足」と時間軸を変えて引くことで、トレンドが長期的か短期的か判断することもできます。
上昇トレンドライン
株価が上昇しているときに安値同士を直線で結ぶことにより引けるラインになります。下図の赤丸部分のように高値をブレイクし、青丸部分の安値が切り上がることで上昇トレンドが出来上がります。
下降トレンドライン
株価が下落しているときに高値同士を直線で結ぶことにより引けるラインになります。下図の赤丸部分の高値が切り下がり、青丸部分のように安値をブレイクすることで下降トレンドが出来上がります。
横ばいトレンドライン
株価が横ばいでもみ合っている時に、高値同士と安値同士を直線で結ぶことによりほとんど平行なラインを引くことができます。前回と同じ高安値で株価が反転することで、方向感がないレンジでの動きになります。
トレンドラインの役割
株価は小さなもみ合いを繰り返しながら、方向性をもって動いていきます。一般的なトレンドラインには以下の役割があります。
市場の方向性を視覚化
- 上昇トレンド: 価格が上昇基調にあることを示し、買いが優勢であると判断できます。
- 下降トレンド: 価格が下降基調にあることを示し、売りが優勢であると判断できます。
サポート(支持線)とレジスタンス(抵抗線)
- サポートライン: 安値同士を結んだラインは価格が下落するのを支える役割を持ち、サポートラインとして機能します。
- レジスタンスライン: 高値同士を結んだラインは価格が上昇するのを抑える役割を持ち、レジスタンスラインとして機能します。
トレードの意思決定
- 売買判断: トレンドラインを1つの指標として、ほかの要素と組み合わせることで適切な売買タイミングを判断できます。価格がラインに接近または突破することで、エントリーを行ったり、利確や損切の判断に使用することができます。また、株価の方向性を理解することにより、効果的な投資判断を行う手助けになります。
トレンドラインの引き方
ラインの引き方は、正解はなく人それぞれ違うと思っています。投資スタイルによっても変わってきますし、どの価格を重要視するかでも変わります。また、ラインはざっくり引くことが重要だと思っています。正確なエントリーポイントとして使うというより、方向感を確認するための1つの指標の意味合いがあると思います。今回は株式投資をするのであれば必ず目にする、日経225のチャートの日足を使って解説していきたいと思います。
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チャートを準備する(期間や対象銘柄の設定)
まずは、トレンドの確認をしたい銘柄選定します。ここで重要なのは、自分の投資スタイルによって時間軸は変わるということです。例えば、スイングトレーダーであれば日足チャート、デイトレードであれば分足を使用することが多いです。もちろんどのような投資スタイルであってもすべての時間軸でトレンドは確認しますが、最も重要視するチャートということです。今回は日経225で2023年12月~2024年5月の日足チャートを使って解説していきます。
重要な高値と安値を見つける。
チャートの準備が出来たら、該当期間の高値と安値になるポイントを探します。下図では、私が思う高値と安値をマルで囲ってあります。意識したポイントとしては、下記になります。
- 前回の高値をブレイクした後の押し目:安値につけている赤丸部分は、上昇後いったん下落して次の上昇前の押し目になっていることが分かります。
- 株価の反転するときに出やすいヒゲの長いローソク足:これは、高値安値どちらにも共通することなのですが、一般的にヒゲが長く実態が小さいローソク足は反転の目安になることが多いと言われています。
高値と安値を見つけることが出来たら最後のステップです。
上昇トレンドの場合は安値同士、下降トレンドの場合は高値同士を直線で結ぶ。
あとは、ステップ2で見つけた高値同士、安値同士を直線で結ぶだけです。そうすることで、下図のようにトレンドを視覚化することができます。
このチャートから分かる事
- 2024年1月頃から3月頃まで上昇トレンドを作っている
- 2024年3月から4月にかけて、青丸部分で抵抗線まで届かずに反落しサポートラインを割り、その後は下降トレンドになっている。
このように、上昇トレンドで意識されてきたポイントをブレイクしてくると新たなトレンドを形成することが多いです。
応用編
ここまで基本のトレンドラインを解説してきました。基本が理解出来たら応用編です。ラインの引き方は多種多様でいくらでも応用することができます。ここでは一部を説明しますが、自分なりにラインを引いて応用できるようにしましょう!
三角持ち合い
下図は、名村造船所の2024年2月~6月の日足チャートです。チャートの形を見ると、安値を結んだサポートラインが平行に引けます。また、高値を結んだレジスタンスラインは下向きに引くことができます。このように、サポートラインとレジスタンスラインで三角形を作ることができるチャートを三角持ち合いと言われています。では、この三角持ち合いはどのように見ることができるのでしょうか。
まずは、三角持ち合いのチャートは、2本のライン間でもみ合います。なので、シンプルにこのラインを反発ラインと仮定して、エントリーやエグジットポイントとして見ることができます。
そして最も特徴的なのは、この三角持ち合いをブレイクするとその方向に大きく株価が動くことが多いと言われていることです。下図では、赤枠のポイントでレジスタンスラインをブレイクし、もみ合った後に大きく上昇しています。このように、ブレイクしたポイントはエントリーのチャンスとして見ることが多いです。ただし、ここで注意したいのが「だまし」の場合があることです。青枠で一旦サポートラインをブレイクして下落しています。しかし、その後すぐに上昇しそのままレジスタンスラインをブレイクする動きになっています。このだましで予測が外れたのであればすぐにロスカットすることが大切です。
だましとは、節目の価格をブレイクしたと見せかけて、すぐに反対方向に戻る現象です。だましを避けるためには、他のテクニカル指標や確認シグナルを併用することが重要です。
出来高だまり
出来高だまりとは、もみ合ったポイントなど多くの取引が行われた価格帯で出来高が集中することを言います。この出来高だまりの価格帯は、サポートラインやレジスタンスラインとして機能することが多いです。価格帯別出来高を表示させるとより正確なラインを引くことができます。
下図は、三菱商事の2024年1月~6月の日足チャートです。2月から大きな上昇の後、赤枠のポイントでもみ合って出来高を作っているのが分かります。その後さらに上昇し、青枠のポイントでサポートラインが機能しているのが分かります。この出来高だまりのポイントは、買い手と売り手の思惑が交錯したポイントでもあるので、心理的節目になりやすいです。
価格帯別出来高とは、特定の価格帯ごとにどれだけの出来高(取引量)があったかを示す指標です。多くのトレーディングツールで表示させる設定があります。
トレンドラインにおける注意点
トレンドラインに頼りすぎない
誤差の許容
市場の変動を考慮し、少しの誤差やラインの調整が必要な場合があります。上記で説明しただましもあります。過度に正確なラインにこだわらないようにしましょう。
ラインブレイク後は注意する
多くの人が意識していそうなポイントをブレイクした場合、その方向に大きく株価が動く可能性があります。もし、そのポイントをサポートとしていた場合は大きな損失につながることもあるので、損切を考える必要があります。
複合的に考える
ほかの指標と組み合わせる
トレンドライン単独ではなく、テクニカル指標や過熱感の有無、相場全体の雰囲気など複合的に考えることで精度を高めます。ただし、多くのテクニカル指標を使いすぎたり複雑に考えすぎると分からなくなってしまうので、一見矛盾しているようですが、シンプルでありながら複合的に考えることが大切です。ここは非常に重要なポイントだと私は考えています。
投資スタイルによってトレンドが変わる
例えば、1日完結のデイトレードと中長期で持つスイングトレードでは、メインで使用する時間軸が変わります。時間軸によって、トレンドが変わりますので、一方では買い目線でも、もう一方では売り目線になります。自分の投資スタイルに合ったトレンドを探すようにしましょう。
実例を紹介
ここまで読んでいただけたら、トレンドラインをだいたい理解できたと思います。ここからは実際に私が行った取引を紹介していきます。
ここで解説していく取引は、最も時間軸の短いデイトレードのスキャルピングになります。基本的には逆張りでエントリーするのですが、一瞬でも反発しそうなポイントを探してエントリーしています。このポイントが正しい絶対に勝てるポイントということではないので、参考までに見ていただければと思います。
ここで紹介する例は、私がエントリーした際の指標の一部です。ここが勝てるポイントということではありません。
7003 三井E&S
1つ目は、三井E&Sでの買い取引です。下写真は、2024年6月10日9時~11日10時までの5分足チャートになります。10日に赤枠のようにもみ合いポイントを作りながらも上昇し強さを見せていました。11日もGUで強く始まりましたが2本目の5分足から、前日もみ合ったポイントまで一気に落ちてきています。また、75本線も割ったところで、赤ラインの1,476円で買いエントリーしています。出来高を作ってもみ合ったポイントは、買いと売りの思惑が交錯しており、上昇後そのポイントまで再度下落してきた時は、一旦反発することが多いように感じています。その他にも複数の要素があり、複合的に考えてエントリーすることが重要です。下記に、エントリー理由をまとめてあります。
5253 カバー
2つ目は、カバーでの空売り取引です。下写真は2024年2月~6月の日足と、6月10日の5分足チャートです。まず日足ですが、2月頃から高値を切り下げて抵抗線を作っています。また、直近は1,850円付近が重く跳ね返されていました。5分足を見ると、寄り付き後下落し、その後一気に100円ほど上昇しています。日足の抵抗線に近づいてきたため、5分足の赤ラインぐらいから1,850円付近まで売り上がってエントリーしようと考えていました。実際は、1840円で反転し下落したので、1835円でのエントリーのみになっています。下記に、エントリー理由をまとめてあります。
まとめ
トレンドラインについて解説してきましたが、一通り読んでいただければ引き方や使い方は理解できたと思います。ただし、トレンドラインの知識を身に着けたからと勝てるほど株式投資の世界は甘くはありません。また、トレンドラインだけで勝てるものではありません。ですが、トレンドラインは多くの人が使用しており、他の指標と組み合わせることで有効なものになります。試行錯誤を繰り返し、自分なりのトレンドラインを見つけていきましょう。
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